PointCloud

ものづくりに関すること。3Dプリンターとその関連ソフトやツールのこと。

MENU

3Dプリンターを楽しむコツ(2)

前回の投稿で3Dプリントは1層目が大切であり、その対策についても触れましたが、いくら調整してもなぜか反ってくるときもあるし、上手く調整できたと思っていたら実はそうでなく、反ってくるときがあります。

そこで、緊急時の応急措置方法について、
自分の場合はどうしても失敗したくないときはプリント中に木工用ボンドでエッジ部分を補強します。早く効果を出したいので速乾タイプを使います。
 



これをプリント中にある程度高さが出てきたらプリント物が反りだす前に少し垂らします。当然ベッドもノズルも動いているので、そのリズムを見極めて必要な個所へピュッと。この画像はプリント終了後にボンドを垂らした絵を撮っています。
上手くいけばプリント中に硬化してプリント物が反るのを防いでくれます。
プリント後は固まったボンドは指で簡単に剥がすことができるので、汚くなることもありません。
 
気を付けるのは、ベッドから剥がすときに余計に力がいるのと、ベッドにボンド跡が残ることがあることでしょうか。ポリイミドテープの張り替え頻度が多少上がります。
ということで、常用するよりもあくまでも緊急時の応急処置にとどめておいた方が無難です。


3Dプリンターを楽しむコツ

3Dプリンターを使いだしてから3年以上が経ちます。一時期よりは頻度が減ったものの、未だに3Dプリンターを動かしては何かしら作っています。これまでよくも飽きずに使い続けてるものだと、自分ながらに感心しているのですが、一方、世間的にはせっかく手に入れた3Dプリンターを放置している方も多いのではないかと推測してます。

3Dプリンターはまだまだいろいろな問題を抱えていて、出力に時間がかかるとか、メンテナンスに手間がかかるとか、材料の調達先が限られているとか、3Dプリンター持ってても作るものがない(=コンテンツ不足)とか。他にも言い出したらキリがないのですが、自分がなぜこれらの問題にも屈せず3年以上も使い続けていられるのか、振り返ってみました。
 
 
 
失敗させない
 
3Dプリンターでの出力はよく失敗します。特に最初の頃は成功率が50%以下だったかもしれません。出力し始めの1層目がしっかりベッドに食いつかずに途中で出力物が剥がれてしまうとか、ABSで反りまくるとか、オーバーハングが上手く出力できずにグズグズになってしまったりと様々な要因で失敗するのです。
 
失敗してしまうとそれまでの時間が全てパーになってしまうので、極力失敗させないことが必要です。
私が思うに、大事なポイントは以下の3点
①フィラメント
②出力した側から冷やすためのFAN
③1層目の調整
 
 
まず、1つ目の「フィラメント
フィラメントを購入するとき、店頭販売している店は少ないので、主にネットで購入することになります。
楽天やアマゾンで検索するといくつか出てきますが、とにかく安いものを追い求めて3000円/kgのようなフィラメントを購入すると痛い目にあいます。(最近はよくなっているのかもしれませんが)私が購入していたときは1.75mm径のフィラメントにもかかわらず、太いところで2mm近くもあり、当然チューブの途中でつまってプリント中にフィラメントが出てこなくなりました。その他にもオーバーハングが上手く出力できなかったり、ブリッジも決まらないのでサポートをつけると出力後にサポートが剥がれず使いものにならないケースもありました。
 
なにかのタイミングで5000円/kg程度のフィラメントを購入して使ったとき、その質の良さに感動しました。とにかくブリッジが綺麗に決まるのでサポートを使う機会も減り、無駄なサポートが不要になったので出力時間も短縮しました。フィラメントの質の大切さを痛感し、それ以降安いだけのフィラメントは買わないようにしています。
 
 
2つ目「AN
プリントした側から樹脂を冷やすために、ノズルの側につけるファンです。一部の機種では標準で装着されているものもありますが、自分が作ったRepRapにはありません。小型のFANを用意したら、Thingiverseなどのサイトを検索して自分のプリンターに合う形のファンホルダーのデータを探します。見つけたらそれをプリントしてFANを装着して使います。データが見つからないときは自分でデータを作ってください。
 
自分はノズル側のFANは早い段階から使っていたのですが、使っている間にノズルの熱でホルダーの先端がダレてしまい交換が必要になっていましたが、今はノズルに近い部分だけはアルミ板にしてあるので熱にも耐えられます。このFANがあるときとないときとでは、やはり出来上がりに大きな差がでます。特にZ方向に向かって広がっていくような形(花瓶のような形)ではプリント中に淵が熱でめくれてきてノズルと接触して失敗するというケースもFANがあれば防げます。それに仕上がりも綺麗になります。

ここでフィラメントとFANの有無による違いを画像で見てみます。
まず、安いフィラメントでFANなしの場合。あらゆるところがダレて形造れていません。
 

 


次にフィラメントを良質なものに変更し、FANも動作させた場合
各所の形がきれいに出ています。サポートなしです。


 
3つ目「1層目の調整
「1層目を制するものは3Dプリントを制す」と誰かが言ってましたがそのとおりで1層目をしっかりベッドに食いつかせるのは大事なことです。プリントの途中で出力物が剥がれてしまっては全てが無駄になるのです。この問題を解決するためにベッドの種類や塗布する材料、調整するための機構などいろいろなアイディアが試されています。
 
数ある対策の中から自分がとっている対策は2つあります。一つ目は3DALさんのサイトで公開されている「ベッドオートレベリング」の機能を追加で実装しました。この機能はZ軸方向の0点調整を自動で調整してくれます。しかもベッドが傾いていてもその傾きを計算してプリントしてくれます。これは自分のプリンターの剛性というか、水平に自信がないためで、最近のプリンターでしっかり水平が出ていてあまり狂わないようであればここまで必要ないかもしれません。
もう一つは「脱脂」。プリントする前にポリイミドテープを貼ったベッドをエタノールで脱脂します。使っているうちにベッド面も手の脂が付着し、食いつきが悪くなるためです。マスキングテープやシワなしPitも評判が良かったので使ってみましたが、底面に付着したノリの除去など後処理に手間がかかるデメリットもありました。その点、脱脂するだけであれば後処理も不要です。
上記の「ベッドオートレベリング」と「脱脂」を組み合わせてからは1層目が剥がれてしまうトラブルは一度も発生していません。しっかり食いついてくれます。
 
 
以上、3点のポイントを説明しましたが、この3点を抑えてプリントの成功率を上げたのが、自分が長続きしている一つの要因と感じています。これまで失敗続きでめんどさくなって3Dプリンターを放置しているような方がいれば上記のポイントを見直していただければ失敗する確率はだいぶ減るでしょう。
よく、ソフトの設定を細かくいじってなんとかしようとしている人がいますが、スライサーソフトの設定を細かくいじるのはプリント品質向上のためには必要ですが、その設定だけでは解決できない問題もあるのです。まずはソフトは標準的な設定程度にとどめておき、上記のポイントを抑えてプリントを確実に成功できるようになってからさらにソフトの設定を詰めることに取り組めば良いかと思います。そこまでくれば3Dプリントもさらに楽しくなるでしょう。
 
 
 
 
 
 

海外通販による部品の調達

ものづくりをするときに必要なのが「部品の調達」。
自分がよく使う調達方法を紹介。



最初は東急ハンズでよかった

東急ハンズに行けば接着剤、工具、MDFやアクリルなどの板材、必要なものは何でも揃った。
決して安くはないけど会社帰りに寄れる場所にあったので、通販に比べて送料がかからないと思えば価格もあまり気にならなかった。それにあまり用事のない各フロアに立ち寄ってアイデア商品や気の利いた商品を眺めて刺激を受けるのもよかった。
3Dプリンターで出力したものを表面処理するのにアセトンが必要になった時も東急ハンズにはもちろん置いてあった。「危険」の大文字フォントが記されたアセトンの缶をもって誇らしげにレジの列に並んだものです。




困ったときのMonotaro

そんな状態がしばらく続いたあと、だんだん東急ハンズの品ぞろえでもカバーできないものが必要になってきて、在庫がないのでお取り寄せになったり、ご要望の商品は取り扱っていませんと言われてしまうことが増えてきた。そんなときに知ったのが通販サイトの「Monotaro」ものづくりするのに必要なものは何でも揃います。一般人では必要なさそうなリニアシャフトやタイミングベルト、プーリーなどが各サイズ展開されており、しかも1個から購入できます。大学や企業の研究機関でも物品を購入するのに使用されているようです。
東急ハンズが工作のための店ならMonotaroは製作のための店といったところです。自分も3Dプリンターを作るときには大分お世話になりました。送料がかかるので、購入するときは効率よく必要なものをまとめて購入してください。




いざ海外へ

これで何でも作れるゼ、と意気揚々としているのもつかの間、そのうち特定の部品をある程度まとまって調達する必要がでてきたり、Monotaroにでさえ取り扱っていない部品が必要になることがあります。そしたら今度は海外通販へ。自分がよく使うのはAliexpressとebayの2サイト。Aliexpressはあらゆるものを安く、小売りしてくれますし、大量に買うと個数に応じて単価が安くなることがあります。また、free shippingの表記がしてあって送料がかからない商品も多いです。自分が商品を購入するときはほぼfree shippingのものを選びます。500円の商品でfree shippingとあったら500円玉1枚で海外から商品を購入して家まで届けてもらえるということです。ただし、商品を購入してからモノが届くまでに通常2~4週間かかるので、急ぎのときは送料を払って1週間以内に届けてもらうといった形になります。もう一つAliexpressで気を付けないといけないのは、ブランドの類似品が多いこと。たとえば、ArduinoやGoproなど有名な商品を買おうと思って検索してもまずオリジナル品は出てきません。出てくるのは価格が安い類似品ばかり。エレクトロニクスに限らず全てのカテゴリで共通しているようです。なのでそれを承知で(品質はともかく)同スペックのものを低価格でということであればよろしいかと。またはブランドとか関係ない部品(たとえば、抵抗やコンデンサ、スペーサー等々)であったり、品質の良し悪しがあまり気にならないものであればお得に買うことができるかもしれません。自分はArduinoの互換機や電子部品、ノートパソコン用のヒンジパーツなどを購入した経験があります。
梱包に関しては日本のような過剰梱包はありません。かなり適当な梱包で届くこともあり、箱が潰れていることもしばしばですが、自分は幸いにもこれまでに返品処理をするほどのトラブルはありません。

Aliexpressと似た名前でAlibabaというサイト(こちらのほうが一般的には有名ですが)がありますが、Alibabaは小売りというよりはもっと大量に100とか1000などのロットでの購入に適しているようです。自作の商品を量産したい場合などはAlibabaということになるのでしょうか。自分もまだ利用したことはありません。

もう一つ、ebay。こちらはAliexpressと同様に小売りしてくれて、freeshippingのものが多くあります。iphone等も販売されていて、Aliexpressよりも比較的信頼性がある気がします。部品を探すときはAliexpressとebayの両方で探して信頼性や送料等を比較してどこで購入するか決めることが多いです。

通販サイトはいずれもクレジットカードで決済することができるので難しいことは特段ないです。あえて言うなら英語での住所の表記でしょうか。といっても最初の1回手間をかけてメモを作っておけば2回目以降はその苦労もありません。
ここまでくれば、あとは他の海外通販サイトを利用してみたり、kickstarterなどのクラウドファンディングに手を出してみることもできるでしょう。調達の選択肢が広がります。

一つ、気になるのはほとんどの商品が深センから届くということ。さすが世界の工場ということでしょうか。





MFT(Maker Faire Tokyo)2016目前

MFT2016がいよいよ今週末の土日に迫ってきました。



2016年8月6日(土)12:00〜19:00(予定)
2016年8月7日(日)10:00〜18:00(予定)
東京ビッグサイト(西2ホール+アトリウム)

公式サイトURL


2014年の来場者数13000人とあり、年々増えているとはいえまだまだコミケ50万人、ニコニコ超会議15万人には遠く及びません、先日ビッグサイトで行われた3D&バーチャルリアリティ展2016(併設展示も合わせた合計)は3日間で87000人とあるので、こちらが比較的規模としては近いでしょうか。

MFTは趣味レベルのものから企業が出展するビジネスライクなものまで幅広い展示が特徴かと思います。
ちょうど、ニコニコ超会議系とバーチャルリアリティ展のようなビジネス系との中間的な位置づけになるのではないかと思います。(ニコニコ超会議には参加したことないですが・・・)

直前になって、あちこちでみどころが紹介されています。

Make:

Engadget

品モノラジオ008「MakerFaireTokyo2016 直前特集」


なお、今回はFPVドローンレースも開催される模様。
非常に楽しみです。



Fusion360 アップデート

私が好きなツールの一つ Fusion360のアップデートについて


7.28のFusion360アップデートでMexhmixerの機能が移植されました。
STLのデータを読み込んでメッシュの濃度を変更したり、均一化をしたり、不要なメッシュを削除といった処理ができるようになっています。メッシュ同士の結合も可能です。

詳細は以下のURLを参照。
http://forums.autodesk.com/t5/fusion-360-ri-ben-yu/what-s-new-2016/m-p/6463693

画像は上記URLから引用しました。




MeshMixerといえば、各種ブラシを使って粘土をコネコネするように変形させるスカルプト機能がおなじみですが残念ながら、今回のアップデートではまだそこまでできません。ただし、上記URLの中で以下のように述べられています。
 
環境を改善するための努力として、たとえばメッシュの三角形を正方形や長方形に変換する四角形化などに取り組んでおり、これはメッシュ モデルを T スプライン ボディに変換するための必須機能です。今後の改良をご期待ください。後は時間の問題です。

 

 STLのメッシュは3角形なのに対し、Fusion360のスカルプト機能で扱うTスプラインボディのメッシュは4角形のため、現在はSTLデータを直接Fusion360のスカルプト機能で扱うことはできないのですが、3角形メッシュを4角形メッシュへ変換する機能に現在取り組んでいるとのこと。これが実現すれば、いよいよ、Thingiverse等からダウンロードしたSTLデータをFusion360に取り込んでコネコネ変形させることができるようになると思われます。
楽しみです。
 
 
 
 
少しメッシュ編集機能を触ってみました。
 
まず、STLファイルを読み込みます。





これまでは読み込んだSTLファイルは一つの固まりとして扱われて、選択しても全体が選択されるのみで移動やスケールの変更はできても、メッシュの調整や部分的な修正はできませんでした。






Fusion360の新しいバージョンには「メッシュ」の機能が追加されています。

 

 


メッシュの機能を選択すると「作成」「修正」などのメニューが表示されます。また、下の図のようにメッシュを部分的に選択することができるようになっています。




一部のメッシュを選択して「修正」>「再メッシュ(均一化)」を選ぶと以下のようになりました。(均一ではない気もするけれども)



他にも「ソリッドとして再作成」を行うと、元のデータ(左)に対して非常に細かくかつ均一にメッシュが貼られたデータ(右)を作ることができました。(細かさはパラメータ次第)

 

 


まだ、できることは少ないですが、Autodesk様の取り組みを称えつつ、今後の展開を期待したいと思います。

 
 

PINE64到着

以前にKickstarterで購入したシングルボードコンピューターPINE64が到着しました。

スペック概要(購入したのはPINE64+)
  64bit Quad Core ARM A53 1.2GHz CPU

  Dual Core Mali 400-MP2 GPU
  1GB DDR3 SDRAM
  10/100/1000 MB Ethernet port
  4K x 2K HDMI port
 
 

箱がやや潰れていて、チープさを感じさせます。


 




中にはボードが一つ入っていて、それ以外に取説や納品書らしきものは一切入っていません。
中国の怪しげな通販利用したときとほぼ同じ。そもそも、PINE64も中国のシンセンから発送されてきました。

ボードサイズは約130mm×80mmといったところ。高さ方向は2段USBが一番背が高い部品になります。


  


 ボードの中央付近にA64の文字が入ったCPUがあります。quad-core 64bit、Cortex-A53 architectureのCPUだそうな。






 SDカードはついていないので、別途調達。
 TOSHIBAmicroSD 16GB (たしか)class10。
 渋谷のじゃんぱらで新品を560円くらい?で購入。秋葉原で買うより安く買えたかも。





 PINE64のマーク。控えめに印刷されています。



  RaspberryPi3がリリースされた今となっては、wifi+BTに対応していない本ボードはやや魅力を欠いてしまうけど、一応ボード右側には「Wifi + BT」のシルク印刷があり、ピンがたっているので拡張用にボードを接続できるらしいです。PINEのオフィシャルなショップに以下のモジュールがありました。

追加モジュール $10.99
https://shop.pine64.com/collections/modules/products/wifi-bluetooth-4-0-module

本体が$19なので、セットで買っても約$30。まだRaspberryPiよりもコスト面では優位です。
追加モジュールがあると知っていれば最初から購入したのに。送料のことを考えると今から追加モジュールだけ注文する気にはなれません。当面、有線LANのみで使いたいと思います。
 
 
今後は動作させてみて、RaspberryPiとの比較など行ってみようと思います。
 
 
 

RaspberryPi 設定

RaspberryPiで日本語入力とプリンターで印刷できるように設定したメモ


パソコンとして使うに当たり基本的な設定をまとめておくことにしました。
 
 
■ 日本語入力
 1 ibus-anthyをインストールする。
   起動したらターミナルを開いて以下のように入力してEnterを押すとインストールが行われます。
sudo apt-get install ibus-anthy


  2 インストールが完了したらiBusの設定を行う
   
   デスクトップ>メニュー>設定>iBusの設定 を開く
   インプットメソッドの画面で 「日本語 - Anthy」を追加して閉じる。
   

 3 日本語入力とアルファベット入力の切替
   
   「Ctrl+スペース」を押すたびに入力が切り替わります。



■ プリンター設定
 1 cupsをインストールする
    起動したらターミナルを開いて以下のように入力してEnterを押す

   sudo apt-get install cups 

 2 system-config-printerをインストールする
  同じようにターミナルの画面で以下のように入力してEnterを押す

    sudo apt-get install system-config-printer


 3 インストールが完了したらプリンターの設定を行う。

   デスクトップ>メニュー>設定>印刷 を開く
   「追加」ボタンでプリンターを追加します。
   追加するには、ログイン時のID+パスワードを求められます。

 4 設定が完了したら追加されているか確認する。
   アプリから 印刷メニューを開き、設定したプリンターが表示されるか確認。