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ものづくりに関すること。3Dプリンターとその関連ソフトやツールのこと。

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3Dプリンターで作ったものを塗装する その2

3Dプリンターで作ったものを塗装したい。
以前にこの記事「3Dプリンターで作ったものを塗装する方法」をかきましたが、それから塗装についていろいろと学んだのでメモしておきます。


前回の記事ではアクリル絵の具を取り上げてましたが、お世辞にもベストな方法とは言えなかったので、別の塗装方法も試してみました。

結果、3Dプリンターを塗装するのはプラモデルの塗装と同様の手段でよさそうということがわかりました。
一般的なPLAとか光造形レジンで造形したものを塗装するならプラモデル用の塗料がそのまま使えます。もちろん造形用の材料にPPとか扱うなら別です。

ポイントをかいつまんで

塗料

プラモデル用の塗料にもいろいろありますが、とりあえずラッカー系の塗料をチョイスしておけばいいでしょう。臭いはしますが発色がよく、塗膜も丈夫です。水性塗料やエナメル塗料は用途を調べて必要に応じて追加すればよいと思います。

メーカーには、泣く子も黙るタミヤ」、それからGSIクレオスとかガイアノーツとかあります。15ml とかの小ビンで売ってるやつですね。
私は最初に作ろうと思ったのがエヴァのヘッドだったのでエヴァカラーがあったガイアノーツに手を出して、そのままずっとガイアノーツの塗料を使っています。
比較的模型屋さんとかで入手しやすいのはGSIクレオスのほうです。

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ガイアノーツ

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タミヤ

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クレオ

各メーカーで微妙に色のラインナップが違うので自分が使いたい色があるメーカーから選ぶとか、購入しやすいものから選べばいいかと。必要であれば部分的に異なるメーカーの塗料を使って塗り分けても問題はないと思います。

他にも海外の3Dプリンターミニチュア作家を見てたらCITADEL(シタデル)カラーというものを使われておりました。日本でもヨドバシのホビー館で売ってるのを見かけたことあります。隠ぺい力が高い最強の水性塗料とか言われてたりします。

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CITADEL

光沢が欲しければトップコートを吹いて光沢を出します。
私もまだ綺麗な光沢を出せるようになってないです。

これら小ビンタイプの塗料に加えて、スプレータイプのものを使うこともあります。
スプレー塗料も複数社から販売されています。

塗装の技術などはプロモデラーの方のHPやyoutubeでもいろいろと紹介されてる
ので勉強ができます。

道具

塗装する道具は大きく分けて「筆塗り」か「エアブラシ」があります。
私ももともとは筆塗りをしていましたが、どうしても塗りムラが出てしまうのと、エアブラシがシンプルなものなら数千円で買えてしまえたので、最近はエアブラシを使っています。

エアブラシを使うことでかなり綺麗に塗ることができますが、準備と片づけには多少の手間がかかります。複数色を使う場合は一色エアブラシで吹くごとに洗浄して次の色の準備をするという工程が発生します。その分、筆塗りではなかなか得られない均一で綺麗な塗装面が得られます。

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エアブラシ

 下地処理

3Dプリントで造形したものには必ず積層痕ができます。これを活かした塗装をするならいいですが、多くの場合は見た目を悪くするだけなので下地処理の段階で積層痕をできるだけ消してしまいます。

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積層痕

光造形レジンは比較的削りやすいのですが、FDM造形したものはコツを掴まないと積層痕を消すのにかなり骨が折れます。

FDM造形物の積層痕を消す一番のポイントは「最初にガッツリ削ること」です。最初から400番とか600番の紙やすりでいくら磨いたって積層は消えないです。
棒やすりなどで全面的にガシガシ削ってからスポンジヤスリとか紙やすりで120/240番 > 400番 > 1000番のように粗い方の番手から順に磨くと比較的スムーズにいきます。

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道具


それでも、3Dプリント時の樹脂吐出量が足りてなくてカスれた様な部分などはクラックのようになっていて、これはいくら磨いても消えないので、パテ埋めや目地止めなどの処理が必要になります。

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積層がカスれてる様

ちゃんとやろうとするとFDMで造形したモデルの下地処理はかなり大変です。


一方、光造形品は柔らかくて削りやすいので下地処理も大分楽です。
サポート材の跡が目立つようなら棒やすりで軽く削ってあげるところから始めるし、大したことなければ240番あたりのスポンジヤスリで磨くところから始めれば十分です。

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光造形品(軽く磨き処理)



実際に塗装したもの

実際に下地処理から塗装までしたものの写真を載せておきます。
いずれもFDM方式で造形してます。

のりものモデル。
それぞれ白/黒の材料を使っており、黒は材料色ですが、白の方は塗装してます。
黒パーツはつやが出てますが、白いところは磨き残したキズがかなり多いです。細かい部分はほとんど磨けてないので積層痕が残ってます。

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のりもの

 ブレスレット型のサンプル。
積層後は縞模様が見えてます。

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造形後の状態

磨いてサフを吹くと先ほどの写真のように小さな傷や樹脂がカスれてるところが目立ちます。

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積層のかすれ

これを処理してからグレーで塗装してクリアを吹けばツルツルになります。

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クリア塗装後

さらにコンパウンドで磨くともっとつやがでます。
写真ではわかりづらいので上げませんが、コンパウンドで磨いたところと磨いてないところでは光の反射具合が変わります。


人型のモデルの背中側です。これはまだ塗装前です。
まだ磨きが足りないのでツルツルというところまでには至ってないですが、FDM造形時の積層痕はみえません。

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人型モデルの背中

失敗を繰り返しながらだんだんと要領を掴んで、下地処理にかける時間が短縮され、最終的な品質も向上してきています。

ちなみに磨き処理は電動の工具を使えばあっと言う間にできてしまうのかもしれませんが、我が家は激しく音がでる電動工具を使える環境にないので、基本手作業です。
それでも短時間で処理ができる方法を模索中です。