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ものづくりに関すること。3Dプリンター、レーザーカッター、3Dスキャナー、3DCAD、RaspberryPi、Arudionoとか。

3Dプリントの品質向上

3Dプリンターを使用する人にとってプリント品質向上は永遠のテーマです。
自分もこの5年くらいの間に試行錯誤してきたところ、知らず知らずのうちにすっかり上達しました。

品質の測り方はいろいろありますが、わかり易い方法の一つとしてベンチマークとなるデータをプリントする方法があります。
有名なのはこの船のデータ「3DBenchy」です。

www.3dbenchy.com


新しいフィラメントを購入したり設定を変えたときには、この船のデータをプリントしてその細部の出来栄えを比較します。これで改善したのかどうかが一目瞭然です。

自分が5年前に初めて3DBenchyをプリントしたときと現在ではこのくらい違います。

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左側は単純に失敗とも言えますが、極端な例としてこのくらい差が出るもの、ということです。


プリント品質向上方法

では、どのようにすればプリント品質が向上するのか、プリント設定のノウハウについてはWeb上でも探せば結構情報は出てきます。

例えば界隈では有名なソフトウェア「Simplify3D」のサイトではPrint Quality Troubleshooting Guideとして以下のページで解説してます。
あくまでSimplify3Dベースでの説明ですが、どのソフトでも大体似た機能があるので参考になります。

www.simplify3d.com


英語がよくわからなくてもMagnaRectaさん(旧Genkeiさん)が日本語に訳してyoutube上に公開してくれています。

youtu.be



ここら辺を見て勉強するとそのうち綺麗にプリントできるようになります。

が、そんな職人のように勉強&試行錯誤を繰り返しながら設定を詰めないと上達しないのか?というと、そんなことはなく2,3の要点を押さえておけば100点まで行かなくても80~90点くらいのプリントは苦労せず実現できると思っています。

そこから先、100点満点を目指すのであれば職人の世界に足を踏み入れる必要があると思います。




自分なりにいくつかプリント品質向上の要点をまとめておきます。

1 フィラメントの選択

質の良いフィラメントを使いましょう。
最近になってちらほら2000~3000円のフィラメントでも良いのが出てきましたがその識別ができない人は素直に5000円くらいのフィラメントを一回買って使ってみるとよいです。

自分は初めて5000円のフィラメントを買ったときに感動しました。
ブリッジがいとも簡単に決まる。反らない。オーバーハングもキレイになる。など。
何も設定変えずにフィラメントを変えただけで大幅に品質が向上したのをよく覚えています。

それからは基本的に5000円目安で評判がよいフィラメントを選択しています。
たまにサンプルでもらったり激安のフィラメントに手を出すのですが、やはり積層間の接着が弱かったり、セットしているフィラメントが毎日折れていたりと安価=品質がいまいちという印象です。

ただ、最近アマゾンで売られているSUNLUというフィラメントが人気だったのでPLAを一つ購入して試してみましたがこれはよかったです。コスパよいと思いました。

フィラメントの質は大事です。


2 冷却FAN

積層したそばから冷やすための冷却FANです。
これもあるとなしでは大違い。オーバーハングやブリッジの出来栄えにも大きく影響します。

正直、FANがないとこの形状は無理かなということもあります。
自分は自作のRepRapを使っていて標準で冷却FANがついていなかったこともあり、しばらくの間オーバーハングの多い形状のプリントに悩んでいましたが、自分でFANホルダーを設計してFANをつけたところ一気に品質が向上しました。

市販品の3Dプリンターにも必ずと言っていいほど冷却用のFANはついています。
もし設定で無効にしていたり壊れて動かないようであれば即刻見直して冷却FANを活用した方がよいです。

ただし、最近気づいたことですが冷却用FANを100%でぶん回してたらフィラメントの糸引きやサポート柱が倒れる要因にもなっていたことに気が付きました。

糸引きはリトラクションの設定で解決するというのが定石ですが、自分の場合はなかなか解決せず、何かのはずみでFANをOFFしたら改善したのでたまたま気づきました。
冷却FANの強さやONするタイミングを見極めるのは次のステップアップにしたいと思います。

この2点だけ抑えてプリントするとこの程度の品質になりました。
大分前の話ですが、初期の状態から設定は大きく変えてなかったと思います。

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写真には映っていない細部にも形状くずれはあるものの、このくらいの品質で出力できれば事足りるケースも多いのではないでしょうか。


もう少し初期投資ができる人は、他に職人技を習得する必要なく品質を向上させる方法として以下のようなことも考えられます。


3 スライサーソフトウェア

3Dモデルをスライスするソフトウェア。
kisslicer や Cura など無料のものからSimplify3Dのように有料のもの。市販の3Dプリンターに付属のソフトウェアもあります。

個人的には当然無料より有料版のほうが性能は良いと思います。
Simplify3Dを導入して細かい設定を気にしないで使っていますが、それまでの無料版と比較してサポートの剥がれがよかったりと恩恵を受けています。
本当は細かい設定を使いこなしてこそ、のSimplify3Dではありますが。


4 プリンター

性能の良くないプリンターでは何をしても限界があります。
また、小ぶりなデスクトップ型プリンターは大物をプリントしようとすると分割出力してから接着する必要があり、そこでも全体的な品質が落ちます。

自分も自作のRepRap機に限界を感じたので、いろいろと調査をして評判の良い市販機種を購入したところ、同じデータを出力してもやはり品質が違います。グッとよくなりました。

造形サイズも、以前は10cmx10cmx10cm程度が造形サイズの限界だったのですが、新しい機種は30cm角以上の造形ができるので品質と造形サイズの両面でストレスフリーに。

まとめ

なんとなく、金をかければ品質が向上するみたいな内容になってしまいましたが、3Dプリントするのも時間がかかるので、長くつきあうのであればなおさら時間を無駄にしないためにも多少の投資は必要ではないかと思うわけです。

個人市場での3Dプリンターブームはあっけなく終わってしまいましたが、当時と比べて個人向け機種の性能向上は顕著です。価格も気軽に手を出せる機種が増えています。

この調子で品質、ユーザービリティ、価格、造形スピードが向上していけば、今度こそブームではない本物の普及期がくると信じたい。